潰瘍性大腸炎という疾患は、女性にとって特に妊娠や出産に関する影響が大きいです。以下、各ポイントについて詳しく説明します。
潰瘍性大腸炎とは何か?
潰瘍性大腸炎は、大腸の内側に炎症や潰瘍ができる慢性疾患で、症状として腹痛や血便などが現れます。この病気は自己免疫疾患の一つであり、消化管の内壁が自己免疫によって攻撃されるため、炎症や潰瘍が起こります。患者さんは日常生活においても多くの困難に直面し、特に食事や仕事、日常の活動に対する配慮が必要とされます。
治療は主に薬物療法であり、ステロイドや免疫抑制剤、生物学的製剤が使用されますが、効果を示すには時間がかかる場合もあります。また、重症の場合は手術が必要になることもあります。このように治療には長期の計画が必要であり、医療費もそれなりにかかることが考えられます。また、この病気はクローン病と共通点が多く、診断や治療において専門的な知識が不可欠です。
潰瘍性大腸炎と妊娠
潰瘍性大腸炎を患っている女性にとって、妊娠は一つの大きな挑戦です。特に病気の症状が悪化する可能性があるため、妊娠を計画する際には事前に医療専門家としっかり相談することが不可欠です。妊娠中はホルモンの変化や免疫機能の調整が行われるため、潰瘍性大腸炎の症状が緩和するケースもあれば、逆に症状が悪化してしまうケースもあります。
妊娠中の治療には、安全性を考慮した薬物療法が必要となります。一部の薬は胎児に影響を及ぼす可能性があるため、医師の指導のもとで治療を継続することが重要です。特に妊娠初期には胎児の器官が形成されるため、薬の選定には細心の注意が必要です。
また、栄養管理も重要になります。潰瘍性大腸炎の患者さんは、消化機能が低下しているため、妊娠中にはより一層の栄養バランスが求められます。特に鉄分やカルシウム、ビタミンなどの摂取が重要であり、これを補うための食事やサプリメントが必要となることがあります。
出産時の注意点
潰瘍性大腸炎を患う女性が出産する際には、いくつかの特別な注意が必要です。まず、出産の方法については事前に産婦人科医と消化器専門医との連携が必要です。場合によっては、帝王切開が推奨されることがありますが、自然分娩も可能なケースが多いです。
出産前には、症状の悪化を防ぐための特別なケアが必要です。特に出産直前の数週間は、体への負担が大きくなるため、症状が悪化しやすい期間でもあります。これに対処するために、適切な医療ケアと栄養管理が重要です。
また、出産後の体調管理も同様に重要です。産後はホルモンの変化や体の回復が進む一方で、免疫機能も変動するため、症状の再発や悪化を防ぐための継続的な医療管理が求められます。産後のケアがしっかりと行われることで、母子ともに健康な生活を送ることが可能となります。
潰瘍性大腸炎と新生児への影響
潰瘍性大腸炎そのものが新生児に直接影響を及ぼすことは少ないですが、妊娠中や出産時の薬物療法や栄養状態が新生児の健康に影響を与える可能性があります。例えば、母体が適切な栄養を摂取できていない場合、胎児の発育に必要な栄養素が不足し、成長に影響を与える可能性があります。
また、出産時には産道を通る際に母体から感染するリスクもあります。これは潰瘍性大腸炎とは直接関係ありませんが、全体的な健康状態が影響する可能性があるため注意が必要です。
新生児への影響を最低限に抑えるためにも、妊娠中および出産前後の適切な医療管理が求められます。母体の健康状態を維持することで、新生児が健康なスタートを切れるよう、医師や管理栄養士との連携が重要です。
病院との連携と必要な検査
潰瘍性大腸炎を患った女性が妊娠を計画する場合、病院との密接な連携が必須です。まずは消化器専門医と産婦人科医の間で情報を共有し、個別の治療計画を立てることが求められます。
妊娠期間中と産後の状態を正確に把握するために、定期的な検査が必要です。これには血液検査や大腸の検査、超音波検査などが含まれます。特に炎症の状態や栄養状態を確認するための検査は、病状の悪化を防ぐために重要です。
また、緊急時にはすぐに対応できる体制も整えておく必要があります。これにより、病状が急激に悪化した場合や出産時に緊急の措置が必要になった場合に、迅速かつ適切に対応することが可能です。病院との連携を強化することで、母体と胎児の安全を確保し、安心して妊娠期間を過ごすことができます。
おば春の潰瘍性大腸炎発症の体験談
長女、出産後、潰瘍性大腸炎軽症発症。
年齢:35歳。
状態:「軽症」。
症状:1日2回程度の下痢。
授乳中だから、まずは、授乳を辞めてくださいね。
そんなことはない。妊娠中に飲める薬なんだから授乳中も飲んで大丈夫だよ!
いい母乳がでてるんだから、このまま母乳、続けてもいいんじゃないの?
専門家の意見が違ってどうしたらいい…
身体もフラフラして自分で決められない…
結果、断乳。
服薬開始
1日:ペンタサ 6錠、毎食後、ミヤBM。
栄養相談。
病状が落ち着き、2年経過。
仕事復帰をし、時間に追われ、ストレスで再燃。
年齢:36歳。
状態:中重度。
症状:1日10回程度の下痢と血便。
退職、失業。
入院を勧められましたが、子供を預けられなかったので1日だけ通院して、後は、自宅療養。
服薬変更
毎日:ステロイド剤の服薬と注腸剤を処方。
食事療法。
1か月程度で熱が下がり、下痢、血便がなくなりました。
副作用:ムーンファイスで顔がパンパン。
一ヶ月後、服薬変更
1日:サラゾピリン9錠。毎食後、ミヤBM。副作用:頭痛。
二か月後、服薬変更
1日:ペンタサ6錠。毎食後、ミヤBM。
緩解2年目 パート勤務復帰。
ここからは潰瘍性大腸炎と出産の体験談
体調がよくなり、2人目の子供がほしいんです。
服薬を止めて、準備したい。
主治医
君の症状では、服薬は止めない方がいい。
何で2人目ほしいの?
僕は、一人しかいないし、一人で十分だと思ってるよ。
潰瘍性大腸炎は悪化させないことが大事!
出産で潰瘍性大腸炎が悪化することを考えたら、最低限の服薬を継続して出産した方がいい。
*ペンタサは、潰瘍性大腸炎の中でも一番副作用がない。
主治医
潰瘍性大腸炎は、治療が困難な疾患です。
母乳をあげる場合でも、服薬は必要です。
どうするかは、責任は取れないので、自分で決めてください。
責任を取ってもらおうとは思っていませんが…
自分で判断ができない…
でも、服薬をしながら出産していきたいと思います
主治医の配慮により、内科と産婦人科の診察を同じ日、診察を受け、妊娠経過を診てもらいました。
この時、仕事を辞めて専業主婦になりました。
里帰り出産と服用
出産は、実家、佐賀で。
ところが…。
消化器専門医
妊娠中は出せますが、授乳中に服薬は、処方できません。
マニュアルにも書いてあります。
え、待って~。
服薬は処方してください。
今までだって飲んでいたんです。
処方箋をもらえず、再受診となった。
すったもんだはありましたが、再受診をして処方していただきました。
服薬変更
1日:ペンタサ4錠。毎食後、ミヤBM。
緩解し、服薬しながら、無事2人目出産。
母乳もあげました。
授乳中に飲んじゃいけない薬ってそんなにないから大丈夫よ。
まとめ
- 潰瘍性大腸炎になって、二人目を出産しました。
- 最低限の服薬をしながら、母乳も与え続けました。
- 子供は小柄ですが、健康に育っています。
- 私は今、近隣の町医者で定期的な検査をし、服薬継続。
- (なぜか、ペンタサが効かなくなり、サラゾピリンを服用中。)
- 転職を繰り返しながら仕事も復帰することもできました。
親の伸長を考えると2人目は、ちょっと小柄でしたが、無事出産。
潰瘍性大腸炎は治ることはありませんが、母子ともに健康!
母乳もあげています。
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